「指導死」に関連する授業


 T教諭が、2021年度と2022年度に実施した、「指導死」に関連する授業について解説します。
 T教諭が勤務する大阪府立東住吉総合高校では、2015年5月15日に、授業中に他の生徒とトラブルになった生徒に対して、約8時間にわたって校内の一室に監禁状態にして反省文等を作成させる等の不適切な指導を行ったことにより、肉体的・精神的に追い詰められた状態にあった生徒が、下校中に踏切内に立ち入って電車に跳ねられて死亡する事案が生起しています。T教諭は、生徒からの質問をきっかけに、この事件について授業で取り上げることには大きな意義があると感じ、「指導死」に関連する授業を実施しました。  なお、この授業は、公民科の学校設定科目である「公民総合」の授業で実施されたものです。学校設定科目とは、特定の教科書が存在せず、学習指導要領で定められている教科以外に、教育上の必要から学校独自で設定できる教科です。
 なお、公民総合の受講者数は、2020年度は30名程度、2021年度と2022年度は10名程度でした。


授業の経緯

 T教諭は、2020年度に府立東住吉総合高校に赴任し、「公民総合」を担当した。東住吉総合高校では、1年生で現代社会を履修し、公民科の基礎的事項を学習している。(なお、実際には、教科書後半の経済分野を学習していない事実が発覚しており、いわゆる「履修漏れ」の事案が発生していたことが確認されており、T教諭はこの点を内部通報するなどして指摘したが、府教委はその事実を認めずに隠蔽している。)
 T教諭は、2020年度の公民総合の授業において、生徒から「うちの学校では2015年に生徒が自殺した事件があったと聞いているが、先生は知っていますか」と質問を受けた。
 T教諭は、赴任前の事件の詳細については何も知らないため、その旨を生徒に伝えると、「事件について詳しいことを調べるにはどうしたらいいですか」との質問を受けた。その場の生徒達は、事実に基づかない想像や憶測で、「○○先生が追い詰めたのではないか」「××先生が指導したから悪いのではないか」などと、根拠も無く具体的な生徒指導担当者の名前を挙げて、好き勝手なことを放言していたため、T教諭は、「真実が分からないのに、そのような発言をしてはいけない」「憶測に基づいて人を中傷する行為は、人権を侵害するものである」と指導した。そして、質問した生徒には、「私には詳細が分からないが、興味があるなら情報公開請求の方法がある」と伝えたところ、実際に生徒は教育委員会に対して情報公開請求を実施した。(なお、この資料は不当にも「非公開」決定が為された。)
 並行して、T教諭も情報公開請求を実施したが、公開された資料はそのほとんどが黒塗りで詳細は何もわからないものであった。そこでT教諭は、裁判所に電話し、事件記録の閲覧を申し出たところ、閲覧が可能との回答を得たため、事件の詳細を知ることができた。さらには、裁判所のホームページ上にも、当該裁判の記録が公開されていることも知ったため、その事実についても生徒に伝達した。
 翌2021年度においても、同様に生徒がその事件に興味関心を持っていたため、判例学習の一環として、裁判所のホームページ上に掲載されている記録を用いて、裁判制度の概要を学習するとともに、事件について想像や憶測に基づかない正しい理解をするように指導した。学習後には、「事件の遺族の気持ちに立って、遺族に手紙を書くようなつもりで、学習した内容や思ったこと、考えたことなどを書きましょう」との振り返りの時間を設けた。この際に生徒が書いたコメントは、まさに事件の遺族の気持ちに立って、相手の気持ちを十分に配慮した内容であり、生徒が真摯に事件に向き合ったコメントを本当に遺族の方が読んだとしても喜ぶのではないかとT教諭は考えたため、「生徒の個人情報に配慮した上で送付できないか」と校長に聞いてみたところ、「遺族にいきなり送ってはいけない」との指示があった。この際の校長の発言の趣旨は、「いきなり送っては相手も驚くし、失礼にあたる」というものであった。T教諭は、「確かに、そのようにいきなり送りつけてはいけない」と考え、丁寧にコミュニケーションを取った上で、生徒の真摯な思いを伝える方法がないかと模索するようになった。(そもそも、T教諭が「手紙を送ったらどうか」との発想に至ったのは、後述するとおり、校長が「遺族と和解した」と職員会議で発言していたことによる。)
 2022年度も、T教諭は同様の授業を実施した。そして、2か年度分の生徒のコメントをまとめたT教諭は、結果的に、実際に福井県にある遺族の元を訪問し、丁寧にコミュニケーションを取った上で、生徒たちの真摯なコメントを手渡すことに成功した。亡くなった生徒の母親は、「今まで学校関係者や教育委員会関係者は、家にもやってきていない」「わざわざここまで来て、息子の死に向き合ってくれたのはT先生だけです」などと話し、生徒達の真摯なコメントを読んで「このままでは息子の存在が忘れられてしまうような気がしていたのに、生徒たちがこのように考えてくれていてうれしい」と、涙を流しながらお話ししてくださった。
 遺族訪問後には、亡くなった生徒の祖父から手紙が届き、「孫の事件にしっかりと向き合ってくれて、心から感謝します」などの記載があった。生徒たちも、「遺族の方もコメントを読み、涙を流して喜んでくれたと聞き、学習して良かったです」「T先生じゃなくて、他の先生が遺族の気持ちを考えていないと思った」「遺族の方は家まで来てくださった先生のことを感謝しています。誰一人嫌な思いをしている人はいないと思います」との意見を持っている。
 さらに、亡くなった生徒の祖父から手紙を読み、生徒たちは「今まで何回も自殺して楽になりたいと思っていたけど、この事件や指導死について勉強し、自分の命を大切にしていきたいと思います」「1日1日大切に過ごそうと思いました」などと感想を記しており、それまで自殺しようと何度も思っていた生徒がその思いを改めるなど、大変に教育効果が高いことが分かる。
 公民総合を受講する生徒は高校3年生であり、18歳において成人となる近年の民法改正などを踏まえても、この教材や授業が不適切なものであるとは到底言えない。
 なお、2021年度および2022年度の「公民総合」の授業においては、大阪地裁において裁判所見学の授業を実施しており、民事事件や刑事事件の傍聴とともに、事件記録の閲覧方法などについても学習したところ、当該事件に興味関心を持った生徒達が、後日、友人達と連れだってわざわざ裁判所まで出向き、事件記録を閲覧したという話も聞いている。自ら主体的に学ぶ姿勢が身についたと言える。

 さらに、この指導死事件について、校長は「事件遺族と教育委員会は和解が成立した」と職員会議において発言していた事実があるが、これは遺族の証言により虚偽であることが判明している。また、校長は、生徒自殺事件を受けて教育委員会が「生徒指導の手引き」を作成した旨を説明したが、実際に、その手引きは教職員には一切配られず、T教諭は生徒指導の参考にするために手引きを見せるように校長に要求しても、校長は「教員には見せていない」として内容確認を拒否した経緯がある。さらに、T教諭は教育委員会に対して、この手引きを情報公開請求したが、これも「非公開」となった。事件遺族に聞いたところでは、裁判の過程において教育委員会が「生徒指導の手引き」を作成する事実を聞いており、作成完了後には遺族にも送付するように書面で申し入れていたにもかかわらず、その後まったく音沙汰がないとも聞き及んでいる。



遺族に手渡した生徒のコメント

■ この事件は絶対に忘れてはならない事件だと思います。
■ 学校側はこの事件については触れてはいけないみたいな空気を出しています。絶対悪いと思ってないと思います。
■ 喧嘩した2人に生徒指導をするのではなく、止めた子だけを指導しているのもおかしいです。
■ その子は8時間も詰められてパニックになってしまったのかなと思います。
■ この事件は高校側の対応がおかしいと思うところがたくさんあります。
■ 全く悪くないと思っているのに、反省文なんて書かせるのも意味がないと思います。そんなにしてまで反省して欲しいの?と思ってしまいました。
■ 普通はXX先生とかを飛ばすのが普通だと思います。
■ その子の気持ちを考えると本当に心が苦しいです。
■ ほんとに可哀想。
■ そのような喧嘩が起こっているにもかかわらず、すぐに止めようとしなかった教師は一体何をしていたのかと思います。
■ 喧嘩を止めなかった先生や、拘束しているときに見張っていた先生達が今も先生をしていて、しかもまだこの学校にいるのが本当に怖いです。
■ この事件はもっと東総生に知られるべきだと思います。
■ まだあの時に関わっていた先生がいるなんて怖いです。
■ 裁判では学校側が勝っていておかしいと思います。
■ 全く反省文を書かなかったため8時間も拘束していたのにも驚きます。8時間も拘束されていたら誰でも嫌になるに決まってます。
■ 拘束した先生達が罪に問われないのがおかしいと思います。
■ 普通、生徒指導は該当生徒と話をして反省させることですが、注意をしていただけで生徒指導を8時間以上したり反省文を書かせたり停学処分にする必要はないと私は考えます。
■ 反省文書けなかっただけで同じ部屋にずっとおらして先生達に何回も同じこと聞かれて絶対に精神的にしんどかった。裁判所に行って資料見に行った時にお母さんからの質問がいっぱい書いてる紙があって、その返し方が適当過ぎて余計に腹が立った
■ まず、中学校の訪問の際にそのようなことがあるため、乱暴な子などは同じクラスにしないで欲しいなど警告をしたにも関わらず守らなかった高校側はおかしいと思います。
■ 指導するのはいいと思うけど色々と考えて指導するべき。
■ ただ注意しただけやのに8時間の指導するのも分からんし、注意された人の方が早く家に帰らしてるのも意味わからん。
■ 注意した子、喧嘩をしていた相手にどんなことがあったかを聞き、何故言い合いになったのかを聞いてあげるなど、たくさんの対処法があったとおもいます。
■ 今の学校でもその子よりはましですが、反省文を書くまで帰らせないみたいな謎の課題があったりします。こんな事件があったにもかかわらずです。普通そういった事件があるなら、改善するはずですよね。信じられません。
■ 何故あんな事件があったのに指導した先生が飛ばされず校長や教頭が飛ばされるのかがわからない。
■ 私は行き過ぎた指導だったのではないかと思います。
■ 私は学校側がトラブルとなった時にとった対応は良くないと思います。
■ 隣の先生が来るぐらいうるさかったと思います。なのにそれを無視して止めれなかったと言っているのがおかしいです。
■ たしかに手をあげたことは悪いと思いますが、その子は女の子を思ってやった事なのに、悪いと言われて意味がわからなくなると思います。
■ 男子生徒は雑談をしていた生徒を注意しただけで8時間以上の指導はおかしいと思います。
■ なんでこの事件があったのに関わってた東総の先生がまだおるのかわからん。
■ こんなことが二度とないようにしないといけないと思う。この学校だけじゃなくて全国どこの学校でも。
■ 授業中周りを見てない先生も先生や
■ 学校側の生徒指導によって一人の命が奪われてしまったと私は考えます。
■ 裁判で遺族側が負けた事、先生達が罪に問われないのが本当に信じられません。
■ 手を先にあげたからという理由だけで指導対象で反省文を書かせるというのは本当に間違った判断だと思います。
■ 私はただ注意をしただけでここまでの生徒指導する必要があったのだろうかと思います。
■ 私は学校の対応のせいでこの子の命が奪われたと思っています。
■ 先生たちは事情聴取をしてから生徒がどのような子なのか、理解して、無理矢理反省文を書かせるのではなく、落ち着いて書かせてあげたらまた多く反省を書けたんじゃないかと思ったし、「僕は学校にいない方がいい」と言う発言を聞いたならもう少し心配したり、親に来てもらったりしたら良かったのにと思いました。
■ 自殺してしまった生徒を指導している最中に先生は少しでもおかしいと気づかなかったのかと思いました。
■ 暴力は良くないけれど、授業中に立ち歩いたりうるさくしたりしていたのは相手生徒だったので、生徒よりも相手生徒の方が悪いと感じた。
■ もしこの男の子に何らかの配慮があったなら今回のような出来事は無かったと思うし、ましてや何故出身中学から問題児だと言われていた男の子をもっと注意して見ていなかったのかが分からない。
■ 他の人とはちょっと違った考え方を持っているというのを先生が把握していたらちょっとは違ったのかなと思いました。
■ 手を出すのは良くないけど、8時間も指導するのは適正とは思わないし、他に方法がなかったのかなと思いました。
■ 生徒はこのような指導には慣れてなくしっかりとした言葉が出なかったんだな、と思うと、どれほど教諭達がその生徒を追い詰めすぎた、やりすぎたと判断はなかったのかと思うとまた疑問が生まれてしまう事だった。
■ 振り返りシートはやる意味あるのかなって思った。
■ 日本の教育は「皆一緒」「皆と違うのは許さない」という方針なので、特出した何かを持っていてもずっと隠されたままであったりだとか海外に行ったり大人にならないと分からない生きづらいと感じる人も多くいると思う。この子も例外では無く、コミュニケーションをとるのは苦手だったかもしれないけど、他に得意な事もあったはずだ。
■ 誰だって8時間も指導されたら精神的にしんどくなるんじゃないかなと思うし、遺族が府に7788万円の損害賠償を求めて訴えたけど家族が負けたのは自分がその遺族やったらほんまに悔しいし、こっちは命落としてるのになんでなんって思うからそれはおかしいと思った。
■ 中学校の教員からやんちゃな子や間違ったことをすることが嫌いで高校入学後もトラブルが生じるかもしれないと報告を受けていたのに事件が起こったのは高校の先生がその子のことをちゃんと見ていなかったからだと思った。
■ どのようにしたら自殺してしまった生徒は自殺せずに済んだのかと考えていたら、指導の仕方やもっと生徒に寄り添って指導したらよかったと思いました。
■ この事件は前に何かで聞いたことがあったけどこんなに詳しいことは知りませんでした。
■ 反省文を書いたからと言ってほんとに反省しているのかも分からないし、早く終わらせたいからと言って思ってない事書いたりする人もおるから、反省文と言う形で、指導するのもどうかと思う。
■ 先生たちは事実確認をし、反省をさせているだけのように感じました。
■ 日本は教育に対する意識を変えて、もっとメンタルケアに目を向けて、アメリカのように個性を尊重したり気軽に精神科・心療内科に行けるようになったら凄く良いと思った。
■ まだ高校一年生になったばかりなのに可哀想だと思う。
■ 今回の事件は指導に問題があるんじゃなくて、いつまでも変わらず古臭くて意味の分からない教育を押し付けている日本に問題があるのだと思った。
■ 教員免許をとる時にちょっとでも心理とか障害のこととか多分習ってると思うのにこの指導のまま続けていて生徒は納得すると思って指導していたのか気になります。
■ 反省文を書く時に先生が質問したこととかの答えに「自分は学校にいない方がいい」とか「15年間生きててもう変われない」とかネガティブな表現になってるのにこの生徒が家に帰る時に親に連絡がつかないのなら誰か先生が送るべきだと私も少し思いました。
■ ビンタした生徒も悪いと思うけど、相手も授業妨害もしていたり、女子生徒の腕を掴んだりするのは悪いと思うし、うるさくなっているのにも関わらずその事に気づかなかった先生も悪いしと思うし、その子の性格にあった指導をしていなかった生活指導の先生や担任が悪いと思う。
■ こんな長く指導したなら精神的にも疲れてると思うから絶対先生が家まで送るべきか親が学校に迎えに来て一緒に帰るべきやと思った。
■ 先生が生徒を家まで送っていたら死なずにすんだのかもしれないのかなと思った。
■ 自分の学校でこんな事件があったのは詳しく知らなかった。
■ 生徒は自分のやったことは間違いじゃないと感じていたと思う。
■ これからこんなことがないように指導を考えないといけないと思いました。
■ 自分の通っている学校で起こった事件だけど全然聞いた事なかった。
■ 大学に行って教職課程さえクリアすれば誰でも先生になれる時代になってしまったのも問題の1つだと思う。
■ 反省文を何時間も書けていなくて反省をしていないのだったら他の方法で反省させたら良いと思った。
■ 先生たちはこのまま指導を続けていて月曜日には納得して反省してしっかりした反省文が書けていると思ったのかと思いました。
■ その方がこの生徒にあった指導もできたと思うし、納得して反省もできていたら自殺せずに済んだと思いました。
■ 話していてもおかしい点がいくつもあったと思うのにそのままにして指導を続けていてそもそも先生をビンタしようとするのも普通に考えておかしいし、すごくネガティブだし、全然反省の色も見えないし、そこら辺どう思って指導をしていたのか気になりました。
■ 暴力したんは悪いと思うけどそれにも理由があるし8時間も指導しやんくて良かったと思った。
■ 手を出した方も悪いけど手を出した方だけに反省文を書かせたり振り返りシートを書かせたり8時間小さな個室に居させる状態や、先生付かず生徒ひとりで帰らせる状態にさせたというのも良くないと感じました。
■ ビンタしただけなのに8時間も監禁状態にして反省文を書かせてその子が悪い事をしたとしてもやりすぎだと思った。



生徒祖父からの手紙

T先生
東住吉総合高校生徒の皆さま

前略 T先生、先日は遠くまでお越し頂いた上、孫の遺影に手を合わせて頂き有難うございました。
 また、生徒の皆さまが書かれた書面(コメント)を見せて頂き、孫の事件にしっかりと向き合ってくれて、心から感謝いたします。

 事件の内容は裁判記録等でよくご存知だと思いますので詳細は省きますが、学校において教師の指導により、肉体的・精神的に追い詰められた生徒が自殺に至ることを「指導死」と称し、1952〜2018年に103件、平成(1989〜2018年)でも82件の報告があります。

「指導死」には大きな特徴が3つあり、@長時間の指導 A反省文 B複数の教師による指導で、孫の場合も典型的な事例に当たると思います。

 私たち遺族は学校に何回も行って詳細な説明を求めましたが、情報を小出しにされたり、説明が変遷したりと埒が明かないので、府立高校の管理者である大阪府を相手に損害賠償請求の訴訟を起こしました。これは決してお金目当てではなく、裁判によって真実を明らかにしたいという思いと、「指導死」による遺族の皆さんが口をそろえて言われるように「二度とこんな悲しい事件を起こさないで欲しい」という一念からです。

 しかしながら、学校・教育委員会相手の訴訟はごく一部を除いて殆どが敗訴になっており、私たちの場合も同様の結果になりました。
 それは指導が密室の中で行われること、生徒が亡くなっているため学校・教師たちの言い分だけがまかり通るといった極めてアンフェアーな形態の裁判になるためだと思われます。
 そして結果的に学校側の指導法が肯定されて、「指導死」が後を絶たないのです。

 事件から7年以上の月日が経ちましたが、私の娘(故人の母親)は奥の一室に孫を供養するための祭壇を設け、今尚遺影と遺骨を置いて、食事も孫の遺影に語りかけながら取っていますし、遺骨を枕元に置いて寝ています。最愛の子供を守ってやれなかったという自責の念から脱却できずにいるのだと思いますし、私たちはそれを静かに見守ってやることしかできません。

 生徒の皆さん、親にとって自分の子供が自らの命を絶つことほど悲しい出来事はありませんし、最大の愚行です。如何なる場合もこのことを念頭に置いて学校生活を送って欲しいと思います。
 最後にT先生はじめ東住吉総合高校の皆さんのご発展とご健康をお祈り申し上げます。



生徒祖父からの手紙に対して、生徒からの再返答

■ この事件の詳細やお手紙を読んで、お母さんやご遺族の方々は7年以上も息子さん・お孫さんのことを忘れられず大変な日々だと思います。
■ 今まで何回も自殺をして楽になりたいと思っていたけど、この事件や指導死について勉強し、自分がいかに恵まれているのかが分かり、そして残された家族や友達のことを思って簡単に死にたいと思わず、自分の命を大切にしていきたいと思います。
■ 私もこのような事件事故が世の中でたくさん起きていることを知り、あってはならないことだと思いましたし、先生たちもこのようなことが起こらないように注意し、指導の仕方も考え直して欲しいと思いました。
■ 今では考えられない指導だけど、「自分の子供が自らの命を絶つことほど悲しいできごとはない」というのは本当にその通りだと思いました。
■ 情報を小出しにされたり、詳細な説明をされないのはありえないと感じた。
■ 少しでも自らの命を絶つ人が減れば良いと改めて思いました。
■ 事件のことについて、学校側が詳しい説明をしないこともおかしいと感じ、事件について学校側は何も感じていないのだろうかと不思議な気持ちになりました。
■ 約8時間に渡った指導は適切ではないと感じた。
■ 国の「指導死について」や、教育の仕方を今もう一度見直すべきだと思いました。
■ お母様の「最愛の息子を守ることができず」、という言葉には心を打たれてしまい、もし自分がこの事件と同じようなことが起こってしまった時、両親・祖父・小さい頃に亡くなってしまった祖母・親戚・友人たちが自分の後を追うようなことをさせない、またこのようなことが起きても自分に自信を持ち強く生きていこうと思います。
■ 私はこの事件を忘れず、自殺したいと思っている子を助けられるように強く生きていこうと思います。
■ 同じ高校でこのような事件があって、7年も前やから自分と関わることはないけど、すごく悲しいことだと思うし、事件のことを詳しく知れて、忘れることがないと思いました。
■ 1日1日大切に生きて過ごそうと改めて思いました。
■ この事件のこと、指導により自らの命をたった人のことを、世の中の人は忘れてはいけないと思います。
■ 事件に関わったり、息子さんと会ってお話ししたことはないけれど、事件のことや息子さんのことは必ず忘れずに生きていこうと思います。
■ 私がこの事件があったということを知ったのはつい最近でした。このことを知った時、指導の仕方がおかしいと感じました。
■ 授業でこのことを知りました。学校側にも悪いところがあったのに、教員や校長はお葬式に行かず、その後にも何もないのはひどいと思いました。