2020年8月頃、大阪府に住む22歳の女性が「投資」に関わるようになったきっかけは、1本のインスタの投稿だった。大学時代の友人が「投資に興味ある人」を募っていたので「興味ある」と答えると、DMのやりとりが始まり、近況などを伝え合ううちに、友人から「一度でいいから話を聞いてほしい」と切り出された。 友人から「高校の同級生」と紹介された男は、LINEのグループトークなどで、暗号資産(仮想通貨)を扱う海外の会社への投資を持ちかけてきた。安く買った仮想通貨を、高く売って利益を出す。紹介料や配当を得られ、損は絶対しない、デメリットはないと言われた。 女性は、彼氏に「もうけ話があるらしい」と話してみた。「うさんくさいから、やめときや」と忠告されたが、「友達やから信用できる」「大丈夫や」と思った。 女性は消費者金融3社から計150万円を借り入れ、男に言われた通り金を渡した。だが、ネット上の投稿などをみると、「詐欺」という言葉が目についた。彼氏に話すと、母親に相談するよう勧められたが、「心配かけてまうから言われへん」と思い、悩みを抱え込んだ。 やがて、女性は「うつ病」と診断され、彼氏と一緒に男らに会って返金を求めたが、応じてもらえなかった。お金を挽回するには、誰か別の人を犠牲にして勧誘し、紹介料を稼いで補うほかない。そんな焦りが、自身を追い詰めていった。とうとう女性は、10月に大阪市内のホテルで自ら命を絶った。ホテルに残されたリュックの中には、母親に宛てた手紙があった。「私の服とか売ってね。多少のお金にしかならんかもやけど」。 母は警察に相談しようと思っても、契約書類はなく、実態がつかめない。弁護士に相談し、金を預かった男を大阪府警に告訴することも検討している。 |